第25回参院選は22日、全124議席が確定した。与党は71議席と改選過半数(63)こそ上回ったが、自民党は改選前から9減で単独過半数も失い、勝ったとはいえ微妙な勝ち方。

そんな中、山本太郎氏(44)率いる「れいわ新選組」、「NHKから国民を守る党」が支持を集め、政党要件も獲得。既成政党と一線を画す「ネオ野党」の台頭は、永田町政治への有権者の不信を浮き彫りにした。安倍晋三首相は参院選の結果を受けた会見で、憲法改正への議論促進へ、国民の「民意」を得られたと強調した。

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安倍首相は22日、党本部で会見し、参院選の結果を「自民党への強い支持をいただいた」と、強調した。 野党と競り合った東北の1人区では、現職が続々落選。安倍政権下での改憲に前向きな「改憲勢力」も、非改選の議席と合わせて国会発議に必要な3分の2(164議席)を割り込んだ。党内では「勝ったのか負けたのか微妙」との空気もあるが、首相は勝利という認識を前提に、持論の憲法改正に向けた議論の進展を、野党に呼びかけた。

首相は「連立与党で71議席。改選議席の過半数を大きく上回った」とアピール。自民の獲得議席は57で、改選前の66議席から9減ったが「3年前(56議席)を上回る議席だ。(13年から)3回連続、参院選でこれだけ議席を得たのは大平、中曽根総裁以来だ」と述べ、改選議席からの9減ではなく3年前の56議席と比べて増えたことを強調した。

その上で、持論の憲法改正について「少なくとも議論は行うべきという審判が、国民から下った。野党は民意を受け止めていただきたい」と述べ、改憲へ向けて国民の理解が得られたとの認識を示した。この発言に、首相の強気な発言に野党は反発。公明党の山口那津男代表も、テレビ東京の番組で「争点設定が国民に伝わっていない。議論すべきと受け取るのは少し強引だ」と、苦言を呈した。

しかし、首相は「与野党の枠を超え、3分の2の賛同が得られる改正案を練り上げたい。柔軟に議論したい」と、どこまでも前のめり。改憲勢力と見据える国民民主党に「議論すべきと考えている人はいる」とも述べるなど、3分の2勢力をどう確保するか、考えをめぐらせていることをうかがわせた。【中山知子】