れいわ新選組の山本太郎代表(44)は比例代表候補155人中、最多の99万2267の候補者名票を獲得しながら落選した。

それでも午前4時45分、支援者の前に立ち「一切、後悔はないです」。参院に2人の議員を誕生させた「党首」は、笑顔で言い切った。

今回から導入された優先枠「比例特定枠」の1位に難病ALSの舩後靖彦氏(61)、2位に脳性まひの木村英子氏(54)を擁立した一方、自らは6年前に初当選した東京選挙区から比例に転出した。最も集票が見込める「山本太郎」の名で集めた票で2候補を当選させ、政党要件も満たした。

4月の旗揚げ時から、特定枠の効果的な使い方を熟考。「国会に緊張感を生み出せる野党勢力、最も厄介な抵抗勢力を作る」との目的を達するため、社会の諸問題に直面する人材を候補者に選んだ。障がいがある2人を国会に送り込むことで「障がい者を受け入れる社会へのスピードが確実に上がる」と判断した。「山本の1議席は失ったが、得たものは比べられないくらい大きい」と強調した。

消費税を廃止し法人税、所得税を累進課税にして大企業と富裕層から税を取るなど、市民目線に立った政策で支持を集めた。4月10日から募った寄付は、今月20日までに4億円を超えた。山本氏はムーブメントの要因を聞かれ「1人1人におもんぱかることが政治の存在意義ということに賛同いただいた。人々も力で政治を変えられるという入り口に立った」と分析した。

政党要件を得て、1番の目的である政権奪取のプラットフォームができた。山本氏は「政権にリーチできる戦いをしたい」と、衆院選へ意欲を見せた。他党からの合流も視野に入れるが「この国に生きる人々のために本気で仕事する気があるか」との条件を付けた。「(自身を含め)候補者は100人は立てたい。野党共闘、いろいろなものが入ってくるが、私たちは既に無視できない存在になっている」。山本氏の目が光った。【村上幸将】