国や大阪府、大阪市の補助金計約1億7000万円をだまし取ったとして詐欺などの罪に問われた学校法人「森友学園」の前理事長籠池泰典(本名・康博)被告(66)の被告人質問が28日、大阪地裁(野口卓志裁判長)で行われた。

黒のスーツ姿の籠池氏は、午後の検察側の質問に徹底抗戦した。「それは何の答えを誘導しているのですか」などと逆質問し、“籠池節”をさく裂させた。設計業者とのやりとりの音声データについて「(会話の)前段が分からない」と突っぱね、「まったく覚えてない」を連発。検察側は「こっちが質問している」と語気を荒らげ、「どうしても聴きたいんやったら、録音を流してもええけどね」と詰め寄るシーンもあった。

午前の弁護側の質問では自身の経歴について「某放送局のアナウンサーに決まっていたが、地域社会に貢献したいと奈良県庁に就職した」と明かした。

また籠池被告は学園が運営する幼稚園で教育勅語を取り入れてから教育方針に同調する国会議員らと06年ごろから付き合うようになったとし「有名になったのは、マスコミの方がけん伝するので、波動が出て行った。宇宙戦艦ヤマトの波動みたいなもの」と説明した。大阪府からの補助金の不正受給を一部認め、「反省している」と述べた。動機について「教育レベルを下げないために受給額を減らしたくなかった。私的流用はない」と語った。

閉廷後は恒例の一句を披露した。

ひのもとに 生まれてうれし 秋の雨

「日本の国に生まれてよかった。この秋の雨にあたって、私の心の中はすがすがしい気持ち。ウソは言ってません」と自ら解説した。

またこの日、来年2月19日に判決公判が開かれることが決まった。