京都で“芸大騒動”が起きた。学校法人瓜生山(うりゅうやま)学園・京都造形芸術大学(京都市左京区)が27日、来年4月1日に校名を「京都芸術大」に変更すると発表した。これに対して「京芸」「京都芸大」などと呼ばれている京都市立芸術大学(京都市西京区)が28日、赤松玉女理事長名で中止を強く求める声明文をHPに掲載した。

造形芸術大は、大学開学30周年記念事業の一環として5つの方針からなる「グランドデザイン」を発表。その中で「造形芸術の枠を超え、芸術立国の実現に向けて」との目的で校名を変更するという。HPでは「略称としては『瓜芸(うりげい)』『KUA(ケーユーエー)』を使用し、『京芸』『京都芸大』は使用いたしません。申し上げるまでもなく、本学は、公立大学法人『京都市立芸術大学』とは異なる大学です」と注意書きを添えている。

一方の市立芸術大は「当該名称は本学の名称や一般に通用している略称と同一あるいは酷似しているため、大きな混乱を招くと大変危惧しております」と主張。「そのような事態にならないよう、名称変更を中止再考されるようお願いしてまいりましたが、聞き届けていただけなかった」と経緯を説明し、最後に「引き続き、協議を続けてまいりますが、当事者間では解決の方向性を見出し難いと判断した場合は、法的措置も含めた適切な対応をとってまいります」と強い姿勢を打ち出している。

京都市の門川大作市長もこの日、同市HPに異例のコメントを発表。「京都造形芸術大学の名称を『京都芸術大学』に変更されると聞き、驚愕しています。大学が新たに名称を変更される場合は、既存の大学と混同しないよう、明確に識別できるようにすべきであります。今一度新しい名称を再考され、両大学が共に伝統と文化を継承し、発展していくことを望みます」と強く再考を求めた。

造形芸術大によると、校名変更は18年夏ごろから検討を続け、文科省にも相談。「6月20日に可能という連絡をもらった」といい、今月27日に届け出を受理されたという。京都市には、7月9日に連絡した。

市立芸術大によると、同大が知ったのは京都市経由だった。7月12日には、造形芸術大の尾池和夫学長が来校し報告を受けた。その時も含めて、数回にわたって再考を求めてきたが、平行線が続いたという。

両校とも今後も協議を継続する姿勢はみせているが、現時点ではどちらも妥協する考えはなく、行方が注目される。