安倍晋三首相は11日の衆院予算委員会で、国対委員長を離れたことで久しぶりに質問に立った立憲民主党の辻元清美幹事長代行に対し「大変緊張しております。至らない点もございますが、辻元さんに『謙虚で丁寧になった』と評価されるよう、一生懸命努力したい」と語りかけた。

しかし、答弁中に「できるだけ、謙虚で丁寧になったと言われるように」と、「できるだけ」という条件を付けるなど、早くも意欲が“後退”するひと幕もみられた。

「謙虚で丁寧」は、さきの参院本会議で、側近の世耕弘成・自民党参院幹事長から、国会答弁の際の態度として注文を受けた言葉。辻元氏は「(本当に)謙虚で丁寧かどうか」と試すように、首相がよく口にする安倍政権と旧民主党政権の経済政策の比較をやめるよう、首相に要請。「総理の値打ちが下がる。もう2度と言わないと約束してほしい」と指摘した。

しかし、首相は「比較するのがいちばんわかりやすい」と述べ、応じない構えを示した。「できる限り、辻元さんに評価をいただきたいと思うが…」と述べつつも、反論をまじえながら持論を述べ続けた。主張を終えると「長々と答弁したので、辻元さんには(謙虚で丁寧と)評価されないと思うが、これからも丁寧に説明したい」と苦笑いした。

辻元氏も「あまり変わってませんね」と述べた上で、「(首相が経済状況を批判する)民主党政権の前後には、リーマン・ショックや、東日本大震災があった。総理は(民主党政権の日々を)悪夢の時代とも言うが、震災では多くの方が亡くなっており、そういうこと(悪夢)を言うべきではない」と、諭した。

その上で「それぞれの時代背景を尊重して、議論をしてほしい。歴代最長(の在任となる)首相の振るまいかどうか、これからしっかり見ていきたい」と、くぎを刺した。