台風19号が日本を直撃した12日、気象庁は東京、神奈川、埼玉、山梨、群馬、静岡、長野の1都6県に、初となる大雨特別警報を発表した。

東京都の中でも、荒川と江戸川に挟まれた江戸川区は、暴風雨により両河川の水かさが増し、洪水警報が発令され、午前9時45分には一部地域に避難勧告が発令された。

江戸川に近い都営新宿線篠崎駅付近は、午後に入り、傘をさして歩くことが困難なほどの激しい暴風が断続的に発生した。江戸川べりでは、鳥も集団で川から離れた方向に飛び立ったが、真っすぐに飛べないほど風が強く、逃げ損ねたのか、死んだ鳥も土手に横たわっていた。江戸川は、見る見るうちに水かさが増していき、午後2時ころには土手が冠水。川の上を走る京葉道路からも、溜まった水が滝のように降り注いだ。

午後2時半には、篠崎駅から新宿方面に向かう電車の運行が終了した。さらに同駅を発車し、本八幡駅に同2時44分に到着する電車をもって、本八幡-大島間の運行が終日、見合わせとなった。篠崎駅の駅員は「本八幡-大島間は、地上が(江戸川の水かさが増え)危険で、避難勧告も出ている状態。私たちも同じ状況なので運行は見合わせとなりました」と説明。「駅にも多数の方が訪れ『どこに避難したらいいんですか?』と聞かれました。午前中の段階で、都心の方に向かう方も、ずいぶんいらっしゃいました」と語った。

一方、荒川も、水かさが午後2時10分に避難判断水域に達した。同3時ころには、水面には白波が何度も立つほど、川の流れは激しさを増した。水は土手にも流れ出し、土手にある野球場は冠水。近くに住むという少年は「このまま、川の水が増えたら大変なことになってしまう」とだけ言い、足早に逃げた。同4時10分には、水かさが氾濫危険水位に到達し氾濫の恐れがあると発表された。荒川の周辺はゴウゴウと音を立てて風が吹き、一部の木が横倒しになっていた。【村上幸将】