天皇陛下の即位を祝うパレード「祝賀御列の儀」が10日、都内の皇居周辺で行われ、世界で1台だけのパレード専用オープンカーが初のお披露目となる。宮内庁が特注したトヨタ「センチュリー」の改造車。後部座席に両陛下が乗られ、4・6キロの距離を時速約10キロで走る。

   ◇   ◇   ◇

宮内庁が特注した、世界で1台だけのロイヤルオープンカーだ。ベースは2018年に全面改良されたトヨタの3代目「センチュリー」。宮内庁の要望を受け、内閣府が車両価格8000万円を上限にトヨタなどメーカー5社に打診し、最終的にトヨタが選出された。

全長5・94メートル、全幅1・93メートルの4ドアで93年6月に両陛下のご成婚パレードで使用された英ロールスロイス社のオープンカー(全長5・27メートル、全幅1・86メートル)よりも大きい。後部座席は前列より4センチ高くなり、背もたれの傾きを25度に固定した。シートは厳選した白の本革だ。

屋根を切断して大改造されたため、車全体の剛性は大幅にダウンする。自動車評論家の松下宏氏(67)は「表から見えない大がかりな補強、防弾装置、爆破を想定した対策、パンクしない特殊タイヤなどあらゆる特別装備がされているはず。実際の車両価格は8000万円をはるかに上回ると思う」と分析する。

V型8気筒5000CCエンジンに電気モーターを組み合わせたハイブリッド車(431馬力)。衝突回避、自動ブレーキシステムや、後部座席にはサイドエアバッグなど最新の衝突安全システムを完備している。燃費は1リットルあたり13・6キロでナンバープレートは「皇10」。ボンネット先端には天皇旗が立てられる。車体の色はセンチュリーと同じブラックだが、塗装を通常よりも何重にも重ね、鏡面のように仕上げてある。

完全な晴天仕様だ。通常のオープンカーは雨天用の幌が装備されるが特注車にはない。雨天時にはオープンカーから通常の「御料車(ごりょうしゃ)」センチュリーとなる予定だが、9日夜時点における、10日の東京の天気予報によると秋晴れの可能性が高い。世界で唯一のロイヤルオープンカーが「令和の祝典」の大役を務める。【大上悟】