「桜を見る会」をめぐる安倍晋三首相の公金「私物化」疑惑に関連し、野党の追及チームは14日、首相が会の前日に都内のホテルで開いた、地元後援者が出席した恒例の「前夜祭」の会費が通常より少ないとして、政府への追及を強めた。

前夜祭は17年以降、ホテルニューオータニ東京(千代田区)の宴会場で開催。首相夫妻も出席し、立食式で会費は1人5000円という。野党側は、同ホテル内のすし店「銀座 久兵衛」のすしなどが振る舞われたと指摘するが、ホテルのホームページによると同店の夕食の場合、にぎりは最低でも6300円。野党議員は「ニューオータニクラスで会費5000円は考えられない」と疑問を示す。

立憲民主党の石川大我参院議員は、独自に同ホテルにパーティーの見積もりを依頼。来年4月で、桜を見る会に招待された首相の後援会約850人と同規模の800人で試算を出してもらうと、1人当たり「1万3127円」という回答を得たと明かした。

同党の安住淳国対委員長も、ホテルに照会すると「最低でも、1人1万1000円」との回答を得たと説明。費用の差額を首相サイドが補填(ほてん)したとすれば、公職選挙法などに抵触する恐れがある。

石川氏は日刊スポーツの取材に「5000円でパーティーはできない。公選法が禁じる買収の可能性があり、首相は国会の場で説明すべきだ」と話した。首相の関連する収支報告書に、前夜祭に関する収支の記載がないことも問題視されている。

一方、菅義偉官房長官は会見で「5000円でできないことはないのではないか。私どもはいろいろ(努力を)やっている」と反論した。政府は今年1万8200人だった参加者数を半減させ、再来年以降、会を継続させる検討に入ったが、首相の説明なしにこの問題が収束するのは難しい。【中山知子】