東京・池袋の都道で4月、乗用車が暴走した事故で、松永真菜さん(31)と長女莉子ちゃん(3)を亡くした夫(33)らが20日、国土交通省を訪れ、赤羽一嘉国交大臣(61)に面会した。

松永さんの夫ら交通犯罪で家族を奪われた遺族が集まった、関東交通犯罪遺族の会(あいの会)は、9月25日に同省を訪問し、法改正および運用に向けて検討を希望した要望書を提出した。要望書には、交通犯罪撲滅に向けて、高齢者の運転における安全施策への経済的支援、マニュアル車の推奨、ドライブレコーダーの義務化など具体的な事項が挙げられていた。その数日後に、赤羽大臣が定例会見で、あいの会の訪問について取り上げ、自ら面会を希望して今回の面会が実現した。

赤羽大臣は「交通事故によりまして最愛のご家族を亡くされた、ご遺族の皆様に心からお見舞い申し上げます。あいの会の皆様におかれましては、交通事故撲滅ということで本当に尊い、献身的なご尽力をいただいていますこと、改めて国土交通省として感謝いたします」とあいさつした。その上で「今は、高齢者の運転を今後、どうしていくのかが、世の中で大変な課題の1つ」と口にした。

そして、自らの選挙区である神戸市の例を挙げ「神戸市では高齢者の皆様は免許の返還が進んでいるんですが、六甲山の裏側に住んでいる方は、日々の生活をどうするか、公共の交通機関をどうするか。さまざまな課題が多くて、決着していかなければならない」と、高齢ドライバーの免許返還を進めるべきという声の一方で、公共の交通機関の整備など課題は多いと述べた。その上で「限られた時間ですが、ご意見を聞かせていただき、忌憚(きたん)のないご指導をいただきたい」と、あいの会の意見を真摯(しんし)に聞く姿勢を示した。

あいの会の小沢樹里代表は「1人1人が今日に至るまで、悲しい思いをしても、自分たちのような思いをこれ以上させたくないという思いを胸に、これ以上、犠牲者を出さないためには、どうしたらいいかを要望書にまとめました」と言い、要望書を渡した。【村上幸将】