令和の日本を沸かせた選手たちに向けて伸びる手、手、手。ラグビー日本代表の初のパレードをひと目見ようと、大勢のファンらが詰め掛け、スマホのシャッター音が次々と響いた。

ラグビーW杯日本大会で初のベスト8入りを果たした日本代表の選手たちが11日、東京・丸の内でファンに感謝の気持ちを伝えるパレードを実施した。

集まったファンの多くは丸の内で働く休憩中のサラリーマンたち。この日のために昨日残業し、仕事を休んだ人。徹夜の仕事から一睡もせずに最前列を確保した人。夜行バスで遠くから来たファン。観客は力一杯に「ありがとう」と思いを叫び続けた。

正午開始直前に会場につくと、すでに選手の歩く道路まで厚さ7~8メートルの人垣があり、直接選手を目にすることはできなかった。しかし、前方にいるファンが頭上に伸ばして撮影しているスマホにかろうじて選手が写っているのが見えた。あるファンは「無料の生中継だ」と笑顔だ。今年の日本開催でぐんぐんヒートアップしたラグビー熱。選手が通ると、選手たちがいるだろうエリアの観衆から奇声に近い歓声が巻き起こる。「来るぞ来るぞ」。次のエリアに待ちかまえたファンにとってはチャイム代わりだった。観客も連携し“ワンチーム”で「ありがとう」の大歓声が選手たちを追い掛けるウエーブとなって沿道を進んだ。

八王子市から始発で来た、永田裕規さん(28)は「福岡選手と同じ筑波大出身です」とドヤ顔だ。日本対スコットランド戦の福岡選手のトライが忘れられないという。「ブームになるきっかけを作ってくれた。今日は有休を取って参加できた。仕事の疲れを忘れるほどに元気をもらえました」と選手に力いっぱい「ありがとう」を伝えた。

高校生3人組も横浜から駆けつけた。学校が早く終わったため、参加することができた。その中でも、福田花梨さん(18)は松島の大ファンだという。3列目を確保し、しっかり“ナマ松島”を目に焼きつけた。「ロシア戦でトライを決めた後に、みんなから頭をなでられたときの笑顔が大好きです」とマニアックぶりを語りつつ、「大勢のファンの熱狂ぶりがすごいですよね」と身動きを取ることが難しかったパレードを振り返った。【佐藤勝亮】