小泉進次郎環境相は11日、スペイン・マドリードで開かれている国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)の閣僚級会合で演説したが、世界に期待された「脱石炭」に言及することはできなかった。

CO2排出を増やすとして、世界から厳しい批判が寄せられている日本の石炭火力発電政策にどう対応するか、発言が注目されたが、進次郎氏は「COP25までに、石炭政策については、(日本が)新たな展開を生むには至らなかった」と述べ、事実上の“ゼロ回答”にとどまった。

「国際社会から、石炭政策を含めて厳しい批判があることも承知している。グテーレス国連事務総長は、先週『石炭中毒』をやめるよう呼びかけたが、これは、日本に向けたメッセージと私は受け止めている」と、世界の批判は認識していると強調。その上で「しかし、これだけは言いたい」と述べ「私自身を含め、今以上の行動が必要と考える者が日本では増え続けている。こうした(世界からの)批判を真摯(しんし)に受け止めつつも、日本は脱炭素化に向けた具体的なアクションをとり続けているし、結果も出していく」と今後への理解を求めた。

炭素中立性連合への参加などの日本の取り組みが「石炭政策への批判でかき消され、評価されない」と、苦しさをにじませる場面も。「この現状を変えたいと思って、マドリードに来た。日本は脱炭素化に完全にコミットしていないと思われているかもしれないが、それは違う。我々は脱炭素化に完全にコミットしている。必ず実現する」と主張した。

2030年の温室効果ガス排出削減目標の引き上げなどにも、言及しなかった。国際交渉の場で、進次郎氏が環境相として演説するのは就任後初めてだったが、厳しい目が注がれる世界デビュー戦となった。