ジャーナリストの伊藤詩織さん(30)が、元TBSワシントン支局長の山口敬之氏(53)から15年4月に性的暴行を受けたとして、1100万円の損害賠償を求めて起こした民事訴訟の判決で、東京地裁(鈴木昭洋裁判長)は18日、山口氏に330万円を支払うよう命じた。山口氏側は同日、控訴する意向を示した。

山口氏が裁判後、都内で会見を開き「今回の判決は、一方的に伊藤さんの主張だけが、根拠なく取り入れられてしまった」と主張した。弁護人は「山口さんにとって、納得のいかない判決ではないかと思います。客観的な証拠との整合性について、もう1度、判決を精査して控訴審に臨みたいと思っています」と控訴する考えを明らかにした。

山口氏は「私は今まで、伊藤さんが一昨年5月に記者会見されて以降、会見の要請を一部、いただいていましたが一切していませんでした。弁護士の指導を受け、訴訟に集中すべきだと。訴訟外で発信するのは、訴訟遂行上、好ましくないという判断を尊重した」と会見を開かなかった理由を説明した。

その上で「沈黙している間に、さまざまな報道が国内外であった。(米国の)ニューヨーク・タイムズ、(英国の)BBCが、伊藤さんの主張を一方的に報じている」と主張。「報道、風評が世界的に流布されると思っていなかった。それが今回の判決に、なにがしかの影響を与えたのではないか? 分からないけれど、残念に思っているところがあります」と語った。

山口氏は「私も元記者をしておりましたから、取材に応じない人、記者会見をしない人は何を言っているかすら分からない。沈黙自体が客観的なマイナスにつながった可能性は否定できない。今後は法廷の外でも、私は主張をしていかなければならないと思っている」と今後、積極的に発言していく構えを示した。

一方で「私は今、ただの一個人で失業しており、何の発信媒体もない。伊藤さんには、たくさんの政治家、メディアが側について世界的に報じている中で、法廷外での戦いについては私のことを理解し、主張を信じてくださる方にお願いして発信していかなきゃいけない」とも語った。