昨年6月、神奈川県内を走行中の東海道新幹線の最終電車で乗客1人に対する殺人、2人への殺人未遂罪などに問われた住所不定、無職の小島一朗被告(23)の裁判員裁判で横浜地裁小田原支部(佐脇有紀裁判長)は18日、無期懲役の判決を言い渡した。

小島被告は判決を聞き、法廷内で「控訴はしません。万歳三唱をします」と言い放ち、立ち上がり「ばんざーい。ばんざーい。ばんざーい」と大きな声で両手を広げ万歳をし、警察官などに差し押さえられた。退廷時にも弁護人に「明日週刊新潮がでますので」と小声で言い放ち「ありがとうございました」と、笑顔で退廷した。

公判で検察側は無期懲役を求刑していた。論告で検察側は「誰もが被害者になり得た悪質な犯行態様」と指摘した上で、止めに入って殺害された男性に78カ所の傷を負わせ、「極めて強固な殺意に基づく残虐な犯行で反省の態度はみじんもない」と非難した。死刑求刑も検討したが、昨年7月から4カ月間の鑑定留置で被告は経験したことをねじ曲げて受け止めたり、根拠なく他人に不信感を抱くなどの「妄想性パーソナリティー障がい」と診断されたことなどから無期懲役の判断を下した。

これまでに、小島被告は起訴内容を認めており、「子どものころから刑務所に入るのが夢だった。有期刑だったら出所後に必ず人を殺す。刑務所で更生することは全くない。無期懲役になったら、2度と出てこられないよう努力する」などと話していた。

起訴状によると、昨年6月9日午後9時45分ごろ、新横浜-小田原間を走行中の東京発新大阪行きのぞみ265号(16両編成)の12号車で、20代の女性2人をなたで襲って重傷を負わせ、止めに入った兵庫県尼崎市の会社員、梅田耕太郎さん(当時38)の首や太ももをなたとナイフで切り付け殺害したとしている。【佐藤勝亮】