令和新時代の2019年は、ラグビーW杯の熱狂が列島を席巻した一方、大型台風による被害や芸人による「闇営業」、「桜を見る会」の問題をはじめとした政治のゆがみなど明暗が分かれた1年だった。日刊スポーツは今年の重大ニュースについて、インターネット投票(23~27日)を実施。4月から冠番組「大下容子ワイド! スクランブル」を担当する、テレビ朝日の大下容子アナウンサーに令和元年を総括してもらった。【寺沢卓、村上幸将】

   ◇   ◇   ◇

熱烈なサッカー愛好家として知られる大下アナにとっても、ラグビーワールドカップ(W杯)の感動は格別だった。

「私も完全に、にわかなんですけれども、本当に今年の良いニュースでしたね! 日本代表は7カ国にルーツを持つ選手がいて、考え方とか、文化も育った環境も違いますから、自分の考えを明確に伝えてコミュニケーションを取らないと、なかなか『ONE TEAM(ワンチーム)』になることは出来ないと思うんです。精神的に大人で、余裕というか、すてきな方ばかりですよね」

台風19号の影響で岩手・釜石鵜住居復興スタジアムでのナミビア戦が中止となったカナダ代表が、釜石に残ってボランティアを行ったことも感動を呼んだ。

「聞く話、聞く話、全て泣ける、いい話でした。台風の災害がすさまじかったり、大雨の被害も多かったし、つらいニュースがいっぱいある中で、笑顔になることが出来るニュースは本当に貴重でした」

ラグビーW杯の先に、東京五輪を見据える。

「暑さ対策など、不安もなくはないですけれど、選手は本当にすさまじいトレーニングをして舞台に臨まれるので、敬意を表して応援したいです」

98年の長野冬季五輪は、現地で取材。東京五輪も全力で伝える。

「長野の時は1カ月行きっぱなし。メダリストがスタジオに来て話をしてくださった。それぞれに歴史、ドラマがあるので、来年もいろいろな方に来ていただけたら、うれしいですね。計り知れないドキドキがあります。新競技も多いので勉強しなきゃという感じ」

注目競技は、やはりサッカーだ。

「森保一監督に頑張って欲しいです。現役時代から取材をさせていただき、最近もお話ししたら『皆さんの励みになるようなプレーがしたい』とおっしゃって。選手、サポーターと同じような目線で、また感動しちゃいました」

全国にニュースを届ける大下アナ。20年の放送はさらに力が込められそうだ。

◆大下容子(おおした・ようこ) 広島市出身。広島大付高-慶応大法学部卒。1993年(平5)4月、テレビ朝日入社。94年「J-LEAGUE A GO! GO!」、97年「やじうまワイド」などを経て98年から「ワイド! スクランブル」を担当する。現在、他に「ザ・タイムショック」「ビートたけしのスポーツ大将」を受け持つ。好きな言葉は「最善を尽くす」。160センチ。

○…渋野日向子(しぶこ)旋風 全英女子オープンの優勝で、まさに彗星(すいせい)のごとく…。ニコニコ、かわいらしくて、あれもあえてリラックスするためにしているんですよね。(11月の伊藤園レディースで)予選落ち後、最初のころ通っていた練習場に行き、ジュニアの選手が一生懸命練習するのを見て、初心を思い出して(大王製紙エリエール・レディースで)優勝。自分を取り戻す術、全て参考になります。

○…桜を見る会 公文書をすぐに廃棄してしまうというのは、良くないと思うんですよ。後に検証しなければいけないものです。「信なくば立たず」じゃないですけれど、国民が疑問に思っていることを説明していって、信頼関係を築いていくのが一番、大切なことだと思う。そんなに時間がかかることじゃないと思うんですよ。カメラの向こうにたくさんの有権者が聞いていると意識するのは、自分も含めてですけど、すごく大切だなと思いますね。

○…働き方改革 どの業界でも、関心事ではありますね。でも休みが多すぎても、その分、お給料が減ったりすることは考えものだし、働かせすぎるのも、もちろんいけませんし、ちょうど良くというのも難しい。休み方を考えるのも、上手にならなきゃいけないですね。私も、趣味はそんなにないので。仕事仲間だけじゃなくて、一緒に運動する仲間、おいしいものを食べに行く仲間とか、いろいろな仲間を持っていた方が良いと思います。

○…令和 番組のタイトルが、私の名前が付く形に変わった4月1日が元号発表の日だったので、緊張する暇がなかった。新鮮でエレガントな響きで、いいなと思いました。7月に考案者と言われる中西進さんに、高校(広島大付属高)の後輩として取材させていただきました。「自分を厳しく見詰め、律して、平和に向かっていくという意味があるんです」とお話しされました。どの国も分断しているところが多い。やはり調和していく令和は大切です。