相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で16年に入所者ら45人が殺傷された事件で、殺人罪などに問われた元職員植松聖被告(29)の裁判員裁判の第8公判が24日、横浜地裁(青沼潔裁判長)で行われた。

この日は被告人質問が行われ、植松被告は冒頭で弁護人から「弁護人が、どのような主張をしているか分かるか?」と問われると「はい。心神喪失、耗弱を理由に減刑、無罪を主張しています」と答えた。その上で「責任能力がないなら即、死刑にすべきだと思う。責任能力はあると考えています」と答え、津久井やまゆり園で常勤で働き始めた13年から大麻を週4、5回、多い時は1日数回、使用したことで「大麻精神病で別人格になった」として責任能力はないとする、弁護人の主張に異議を唱えた。弁護人から「考えは正しい?」と聞かれると「はい」と答えた。

植松被告は、3年前に弁護人に渡したノートの中に書いた「安楽死」について聞かれると「意思疎通を取ることが出来ない人間を、安楽死させるべきだと思います」と、はっきりした口調で答えた。その上で、自らの基準として「簡単に言うと、1番最低のラインが名前、年齢、住所が言えない人間」と説明した。

さらに「意思疎通が出来ない方を守ろうとするから、死について考えることが出来なくなっている。人間はいつか意思疎通が出来なくなる可能性があるが、重度障害者の方と生活すると、考えがあやふやになり死について考えられなくなる」などと身勝手な持論を展開した。

弁護人から「意思疎通が出来ない方にも親や兄弟がいる。家族のことを、どう考える?」と聞かれると、植松被告は「子どもが重度障害を持っていても、守りたい気持ちは分かるが、受け入れることは出来ない」と主張。その上で「自分のお金と時間で面倒を見ることが出来ないから。お金を国から支給されているからです。お金と時間がかかる以上は、愛して守ってはいけないと思います」と声を大にした。

植松被告は、弁護人から「安楽死で世の中はどうなる?」と聞かれると「生き生きと暮らすじゃなく、働ける社会になると思います」と主張。働くことが重要かと聞かれると「そうです。仕事をしないから動けなくなってしまう。ボケてしまうんだと思います」と答えた。若い人で仕事をしていない人もいるが? と聞かれると「働けない人を守るから、働けない人が生まれると思う。支給されたお金で生活するのは間違っていると思う。日本は借金だらけ。(障がい者を殺せば)借金を減らすことは出来ると思います」などと主張。国が障がい者に支給する手当が、国の財政を圧迫しているという趣旨の持論を展開し、自己正当化した。【村上幸将】