安倍晋三首相は4日の衆院予算委員会で、都内のホテルで開かれた「桜を見る会」の前夜祭をめぐる収支の不自然さに関して質問した立憲民主党の黒岩宇洋議員を「うそをついた」「うそつき」「人としてどうなのか」と、面と向かって罵倒する場面があった。総理大臣の発言では、極めて異例だ。

黒岩氏はホテル側の「規約」を手に、会合への出席者数が当初予定より少なかった場合も、当初予定分の請求が行われるという内容が書かれているとして、その際に生じた差額の支払いを安倍事務所側が負担したなら、有権者の「買収」に当たる可能性があるとして、首相の責任をただした。

すると首相は「ホテルに規約に書いているわけではない。根拠のないことを言うのは、うそをついていることと同じだ」と、反論。さらに、黒岩氏が以前、前夜祭で高級すし店「久兵衛」のすしが参加者に提供されたと発言したとして「買収だとか、強い言葉はやめた方がいい。すしの話の時も決めつけをしたが、真っ赤なうそだったではないか」「うそをついたと認めた方がいい」と、まくしたてた。黒岩氏は「(久兵衛と)断言したことはない」と、反論した。

一方、首相の背後に陣取る秘書官が黒岩氏の質問中、首相に何か耳打ちした際、黒岩氏が「そこ、後ろ、うるさい」「関係ないでしょ」と秘書官を非難すると、首相は言葉を荒らげた。「秘書官は、さまざまな機会に私にアドバイスすることもある。それに怒鳴るのは異常な対応だ。秘書官に怒鳴るのは人間としてどうなのかと思う」と、黒岩氏の人間性に言及。その上で「うそつき」と発言したことには「事実なら撤回したい」と述べた。

この後、質問に立った今井雅人氏は、黒岩氏の質問に触れ「ホテルの規約は、ある。総理は事実関係も確認しないで、黒岩氏をうそつき呼ばわりした。総理は『撤回する』と述べたが、これでは足りない。謝罪してください」と謝罪を要求した。しかし、首相は、黒岩氏の「久兵衛」発言に相当怒りがあるようで、再び言及。「久兵衛のすしを800人分出されたように流布していた。それについて違っていたと、黒岩氏は事実を認めていない」と主張。「(久兵衛ではないと)訂正してほしい。今も信じている人がいる」と、怒りが収まらない様子で続けた。