新型コロナウイルスの発生源となった中国湖北省武漢市から帰国した邦人191人を1月29日に受け入れた、千葉県勝浦市の「勝浦ホテル三日月」が1日、営業を再開した。マスクを着用した従業員が丁寧に清掃する玄関には、団体客の名前も掲出されたが、周辺は人通りが少なかった。

受け入れ当初は、市民の間でうわさが流れてパニック状態になったが、国や対応に当たった亀田総合病院(鴨川市)の医師が、邦人は陰性だと説明し収束。2月13日に全員が無事に退去し、従業員の感染もなかった。市内の20代女性が「従業員が、かなり丁寧に掃除していた」と語るように総力を挙げて準備していた。

勝浦ホテル三日月の営業再開こそ、市の観光業の仕切り直しとなるはずが、感染が全国に拡大したあおりを受けた。市内の観光関係者によると、送別会目的で増える団体客をはじめ各ホテル、旅館でキャンセルが相次いだ。国内有数のサーフィンのポイントとして米国、英国からの個人客も多かったが減少。例年16万人を動員する市最大のイベント「かつうらビッグひな祭り」も中止となった。

市観光協会の山口隆事務局長は「経済的損失は計り知れない。朝市で8日にイベントを行うこと含め、新たな施策を検討します」と危機感を募らせた。