日本国内最大のクラウドファンディングサービス「モーションギャラリー」が、新型コロナウイルスに起因するイベントの中止、延期、代替開催及び損害を受けた興行場、飲食店、宿泊施設などの支援プログラムを立ち上げた。5日、そのの1つとして、3週目以降の公演を中止、延期開催することが決まった「佐藤佐吉演劇祭2020」支援プログラムが始まった。

「佐藤佐吉演劇祭2020」は東京都北区王子で2年に1回、開催されてきた。20年も3会場で2月18日から31日までの6週間、開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を受けて、若手劇団の将来への被害を第一に考え、実行委員会は3週目以降の公演を中止、ならびに延期開催することを決めた。

演劇祭の実行委員会は、発生する劇場のキャンセル料は全額負担するとした上で、参加劇団が負担している作品創作にかかった費用や、これからの活動に対しての支援を仰ぐため、クラウドファウンディングを立ち上げたとした。クラウドファンディングのコースは、3000円から50万円まで6つが用意された。

モーションギャラリーは映画、演劇、音楽などの兵術からイベントの開催まで、クリエイターの支援につながるクラウドファンディングサービスを行っており、今回の新型コロナウイルスの感染拡大を受けた支援プログラムは2月27日から呼び掛けを始めた。小中高校への臨時休校や不要不急の外出を避けるよう呼び掛ける政府の動きにより、集客を大きく落としているホテルやゲストハウス、飲食店や、公演そのものが中止となった演劇関係からの問い合わせが、5日までに約30件あり、審査の結果「佐藤佐吉演劇祭2020」支援プログラムなどが第1弾に決まったという。

一方で、安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、政府が要請したイベントの中止に伴うチケットの払い戻しなどの損害について、補償できない考えを明らかにしている。モーションギャラリーの大高健志代表(36)は「現状だと演劇、音楽、映画といったクリエーティブ世界で倒産が増える。税金から補償があればありがたいし、経済施策としても重要ではないか」と語った。

その上で、政府に補償する考えがない現状を踏まえ「我々のようなところが頑張ることで、貢献できたら」と意欲を見せた。申込期間は2月27日から4月30日までだが、感染が拡大するなど状況に変化があれば、延長をする場合もあるという。大高代表は「今後の見通しは読めない。反響が多ければ、延びる可能性はある」と話した。【村上幸将】