東京と下田市を30年にわたり結んだJR東日本の特急「スーパービュー踊り子」が、13日の運転で引退した。2階建ての先頭車や展望座席、大きな車窓などが特徴的な電車で、天皇皇后両陛下や上皇ご夫妻が、須崎御用邸を訪れる際に利用されたことでも知られる。

伊豆急行によると、新型コロナウイルス感染症の影響で、計5日間予定したファン向けの記念撮影会をすべて中止した。だが、最終日も上下各3本を定期運用し、「伊豆急下田駅に、久々にたくさんの鉄道ファンが訪れた」。

下りの最終7号で、東京から下田に帰省した女子中学生(14)は「車内で写真を撮っている人が多かったですね」と振り返った。熱海で乗車した名古屋からの男性会社員(31)は1号車の先頭席が取れ、下田まで相模湾の眺望などを脳裏に焼き付けた。「沿線で手を振ってくれる人が見え、目頭が熱くなりました。シャッターもたくさん切りました」と、思い出の特急との別れを惜しんだ。

上りの最終10号は、愛好家や旅行帰りの人たちでほぼ満席となった。カメラの放列の中、午後4時過ぎに下田を出発し、東京へ向かった。【倉橋徹也】