コロナ禍で外出制限やテレワークの日々を送るなど、苦難の日々が続いています。プロ野球やJリーグなど各種スポーツ、芸能イベントも開催できない状況です。日刊スポーツでは心温まる、ホッとひと息つける「ホッコリ ニッカン」面を新設しました。「日本の色」と題して、鮮やかな写真とともにお届けします。

  ◇   ◇   ◇  

群馬県館林市にあるつつじが岡公園の広大な敷地に、100余品種約1万株のつつじが赤、白、ピンクと彩りを添えている。推定樹齢800年を誇る「勾当内侍遺愛(こうとうないしいあい)のつつじ」や地元出身で宇宙飛行士の向井千秋さんが宇宙へ持っていき発芽させた「宇宙つつじ」などとバラエティーに富み、訪問者を楽しませる。

感染拡大の影響で中止となったつつじまつりは例年、数十万人が押し寄せ公園内を埋め尽くす。つつじの花見は江戸時代から続く伝統ある行事だ。職員の島野智昭さん(32)は「ツアー客もたくさん来て他県の方々とふれあえる祭り。お見せできなくて残念。館林のつつじは誇るべき物。来年には多くの人に見に来てもらいたい」と力を込めた。

公園内の城沼では水鳥が戯れ、つつじの下では猫が昼寝をする。普段は散歩や釣り、家族にカップルが思い思いの時間を過ごす憩いの場だ。つつじは市から委託された造園業者が手入れをする。時間と人手をかけてきただけに「残念がっていた」と島野さんも悔しがる。自粛する人たちの心を悟るように、ギュッと閉じた真っ赤なつぼみには力強さが宿っていた。【滝沢徹郎】

<撮影データ>4月11日14時8分撮影 ニコン「D5」 70-200ミリズーム(焦点距離160ミリ) ISO感度400 シャッタースピード1600分の1 絞り2.8