川崎市多摩区でスクールバスを待っていた私立カリタス小の児童らが殺傷された事件が発生から1年を迎えた28日、事件現場には、多くの人が献花や祈りをささげるために訪れた。

亡くなったカリタス小6年の栗林華子さん(当時11)と同学年だった中1男子生徒はお菓子と花を供えた。「僕は徒歩通学していて、事件の時はすでに登校していました。何が起きたのか分からず、大変なことになっていたのに、遊んでいた。後悔しています。でも、僕より親しい人はもっと悲しいと思う。僕には、お供えくらいしかできない」とうつむいた。

また、亡くなった保護者で外務省職員の小山(おやま)智史さん(当時39)の小中高校の同級生だった横浜市の男性会社員(40)は「1年たってしまったんだなと。残念です。交通事故に遭ったと思うしかないのでしょうか」と唇をかみしめた。

カリタス中高に通った女性会社員(51)は「この事件の後に京アニの事件が起きて、あっという間に忘れられちゃったなと。切ないなと思っていました」と振り返った。さらに「カリタス、京アニの事件は、令和の幕開けに連続して起きた無差別殺人で、象徴的な事件。両方とも忘れないでほしい」と話した。カリタス高に通った女性会社員(32)は「悲しいです。なぜ、小さな子たちが狙われなければならなかったのか。なぜ、という思いが残ります」と話した。

学校関係者がこの日、事件発生時間の午前7時40分ごろ、事件現場に花束を供え、祈りをささげた。カリタス小によると、この日、講堂で追悼ミサを行い、在校生は自宅からライブ中継で参加した。祭壇には、児童がメッセージや絵などで思いをつづった「祈りの花束」が置かれた。同小関係者は「事件を忘れることはできませんし、忘れないことが大事です」と話した。

事件は両手に包丁を持った男がスクールバスを待っていた児童らを次々と襲い、小山さんと栗林さんを殺害、児童ら18人に重軽傷を負わせた。

男は岩崎隆一容疑者(当時51)で、現場で自ら首を刺して死亡。容疑者死亡のまま殺人容疑などで書類送検され、不起訴処分となった。