大阪府は新型コロナウイルスの第2波に備え、国に先がけて新型コロナウイルスのこれまでの状況を振り返り、検証する大阪府独自の専門家会議を12日、開催した。

会議には吉村洋文知事(44)や感染症の専門家などが出席し、外出自粛や休業要請などの効果の検証を行った。会議後、吉村知事は検証が進まない国のコロナ戦略に「国として間違った方向に行くのではないかという強い危機感を持っている」と話した。

会議では、新型コロナウイルスの感染状況の傾向をつかむ新たな指標として、直近1週間での累積感染者数の増加率を示す「K値」を提唱する大阪大核物理研究センターの中野貴志教授らが出席した。数値が小さいほど収束に向かっていることを意味し、曜日のばらつきを考えなくてよいことが注目を集めている。

中野教授はK値の分析をもとに大阪(日本)における新型コロナウイルスの感染拡大の特徴として「自然減の傾向が強く、欧米のような感染爆発は起きない」「収束スピードは一定で緊急事態宣言の効果は極めて限定的」「クラスター対策班によるターゲット戦略は効果的であった」などの分析結果を発表した。

同会議では接触8割削減を提唱し、「8割おじさん」としても知られる西浦博北海道大学教授のデータなども検証した。

会議後、吉村知事は「西浦先生も国のためにやっていただき敬意を表します」と前置きした上で、国の感染症対策の方向性を決める1つの指標になっている西浦モデルについて「西浦モデルだけを信じて、突き進むのは違うのではないかと思った」と疑問を投げかけた。

「副作用、出血や犠牲があまりにも大きすぎる。キチンと国を挙げて、敬意を持って批判的な検証をしないと、国として間違った方向に行くのではないかという強い危機感を持っている」と強調した。【松浦隆司】