コロナ禍の中で行われる東京都知事選(18日告示、7月5日投開票)は、有権者や運営側にとってもこれまでの選挙とは異なる対応を求められる。各自治体は3密をできるだけ避けるため期日前投票を呼び掛けたり、開票作業の人員を減らすなど、安全安心な選挙を目指してさまざまな感染防止対策を進めている。

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東京都選挙管理委員会は今回、市区町村にガイドラインを配布し、コロナ対策に取り組んでいる。具体策の1つが投票所の混雑を分散し感染リスクを下げるための、期日前投票の呼び掛けだ。広瀬アリス起用のポスターでも期日前投票をより目立つようにしたといい、告知に力を入れている。

今回の期日前投票期間は6月19日~7月4日。各自治体は従来、全期間受付の期日前投票所を1カ所とし、それ以外は期間途中から開くのが普通だったが、投票所の数や、全期間可能な場所を増やす自治体もあり、都全体として期日前の機会が増えた。例えば足立区は前回の全期間受付は1カ所だったが、今回は10カ所すべてを全期間開ける。

期日前、投票日当日ともに、投票所の混雑状況を知らせ、空いている時間の利用をすすめる取り組みも広がる。各投票所では担当者はマスクや手袋などを着用。飛沫(ひまつ)防止用ビニールシート、消毒液なども設置する。記載台も間隔を開けたり、鉛筆は消毒済みを渡し回収したり、使い捨てを導入するところもある。鉛筆は持参しても可とした。有権者にもマスク着用、距離の確保などが求められる。

大勢が作業し密になりがちな開票所でも、作業者の安全に配慮する。足立区は人員を前回(464人)比約44%の約200人とし、江戸川区も約1割減らす。作業台を増やすなどし、人の間隔を空けるところもある。従来より開票作業が遅れる可能性もあるが、やむを得ない。世田谷区は換気のため扉や窓を開ける予定で、警備員も手配した。

発熱、せきなど体調不良や、感染疑いなどがある有権者には最初に申告を求め、マスクや手袋の着用、ほかの人から離れて記載してもらうなどの対応が取られる。感染者は指定施設に入院している場合は不在者投票ができる。都選管などによると、自宅療養者などは外出可否について医師らと相談の上、本人の判断になるという。現場の対応も課題になりそうだ。