「東海地方にタイトルを」-。将棋の最年少タイトル挑戦者、藤井聡太七段(17)の地元・愛知県瀬戸市にある「せと銀座通り商店街」では28日、第91期棋聖戦5番勝負の第2局の渡辺明棋聖(36)戦の応援会が行われ、約50人が参加した。

2連勝で最年少タイトル獲得の王手に「聡太、すごいぞ!」「タイトルは確実だ!」と声援が飛んだ。この日の快勝に、地元は悲願の東海地区へのタイトルを確信していた。

   ◇   ◇   ◇

藤井の地元・愛知県瀬戸市にある「せと銀座通り商店街」。店舗のシャッターにジャンボ将棋盤が張り付けられ、店舗の前にはネット中継のテレビが設置された。約50人が渡辺戦を見守った。

渡辺が投了した瞬間、「バンザイ!」「聡太、すごいぞ!」。テレビの前のファンらが歓喜乱舞した。現役最強といわれる渡辺に、2連勝。初タイトルまで「マジック1」となった。名古屋市から応援に来た藤井ファンの会社員佐々木浩介さん(49)は「まったく危なげなかった。タイトルの獲得の確率は8割以上。藤井七段が同じ相手に3回続けて負けることは想像できない」と、表情をほころばせた。

同商店街で洋品店を営む飯島加奈さん(39)はタイトル戦での和装デビューに「タイトル戦での和装姿は感無量。まったく違和感がなく、表情もより引き締まって見え、胸がキュンとしました」と笑顔をみせた。

30年近く愛知県内の高校で体育教諭だった瀬戸市の無職猪井正治さん(61)は「これまで多くの高校生を指導してきたが、こんな17歳は見たことない。本当に高校生かな…。画面からも集中力のすごさが伝わってくる」と、絶賛した。

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、瀬戸市で毎年9月に開かれる全国有数の焼き物の祭り「せともの祭」は、中止が発表されたばかりだ。商店主の男性(56)は「みんなが落ち込んでいるときに、ほんと藤井七段の活躍はありがたい。“藤井さん祭り”で盛り上がります」と、話した。

藤井の師匠・杉本昌隆八段の師匠である故板谷進九段の悲願は「東海地方にタイトルを」だった。地元の悲願まで、ついにあと1勝だ。【松浦隆司】