将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が木村一基王位(47)に挑戦する第61期王位戦7番勝負の第1局は1、2の両日、愛知県豊橋市の「ホテルアークリッシュ豊橋」で行われ、先手の藤井が先勝した。棋聖戦に続くタイトル挑戦となった藤井が、地元・愛知県の開幕局で好発進した。史上最年少での2冠を狙う。第2局は13、14の両日、札幌市「ホテルエミシア札幌」で行われる。

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先手を引いた開幕局でエース戦法の「角換わり腰掛け銀」を用意してくるとは、藤井七段もしたたかですよね。こんな肝の据わった戦いぶりをする若手棋士は、見たことないです。

初日からスピーディーな進行になりましたが、ひるむことなく積極的に踏み込んでいました。敢然と仕掛けたのは、成算があってのことでしょう。「自分の方に絶えず有力な攻めがあります」と言わんばかりに、局面を進めていました。大局観が素晴らしいし、研究が行き届いており、木村王位はその術中にはまった感じですね。

2日制の7番勝負は初めてにもかかわらず、ふだん通りに落ち着いて指していました。まさに、非の打ちどころがありません。棋聖戦でタイトルに王手と意気上がっていますが、これでさらに勢いが加速しそうです。一気に2冠獲得も考えられます。(加藤一二三・九段)