将棋の藤井聡太七段が17歳11カ月と史上最年少での初タイトル獲得に王手をかけた、第91期ヒューリック杯棋聖戦5番勝負第3局が9日、東京都千代田区「都市センターホテル」で行われた。午前9時から始まった対局は、午後7時12分、142手で渡辺明棋聖(36)の勝ち。連敗の渡辺が藤井の持ち時間を削る指し回しで優位に立ち、かど番をしのいだ。タイトル戦初黒星を喫した藤井のタイトル奪取は、第4局(7月16日、大阪市「関西将棋会館」)以降に持ち越された。

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竜王11期をはじめ、タイトルを25期獲得している渡辺さんですから、そう簡単に土俵を割ったりはしませんよ。過去2局の敗戦から、しっかり対策を用意していました。

経験と時間の使い方の差が出ました。終盤の寄せ合いで、渡辺さんの持ち時間が1時間30分もあったのに対し、藤井さんはたったの3分。頂上対決で、この時間差は大きいです。相手に時間を消費させるように誘導して優位を築く。試合運びのうまさを見せつけた感じですね。

「7月になれば流れが変わる」。前日検分でこのようなことをおっしゃっていました。夏場から年度末に調子を上げるタイプ。第4局は渡辺さんが先手番ですし、この5番勝負は最終局までもつれ込む可能性も出てきました。(加藤一二三・九段)