新型コロナウイルス対策で見せたリーダーシップで、一躍“時の人”となった大阪府の吉村洋文知事が14日、上京し、安倍晋三首相、菅義偉官房長官と官邸で約20分会談した。官邸のツートップに迎えられる、異例の好待遇を受けた。

吉村氏は会談冒頭、「第2波を抑えていこうと、法改正も含めた要望をしたい」と、コロナ対策での要望書を首相に提出。首相から「感染症対策に力強いリーダーシップを発揮しておられた」と評価も受けた。首相は、橋下徹氏や松井一郎・大阪市長をはじめ吉村氏が所属する日本維新の会と良好な関係を築いてきた。そんな背景もあり、首相は「協力しながらクラスター対策を徹底し、感染拡大を抑え込んでいきたい」と水を向けた。政府と舌戦続きの小池百合子都知事とは、対照的な対応だった。

会談後、吉村氏は取材に「感染防止のための法的義務というのは、定められないか。法的義務にどうしても反するという場合には、営業停止などを含めた実効性のある法改正」を中心に、空港における水際対策の強化などを求めたと明かした。また、対策を取らず、感染が拡大するエリアには「法的な感染防止に協力する義務を負うべきじゃないか」と求め、従わない場合は、知事による営業停止命令、許可処分の取り消しなどが必要だとも要望したという。首相が意欲を示す憲法改正も話題になったとし、「(憲法改正の国民投票を)安倍総理の時代で実現してください」と、伝えたことも明かした。

全国区の人気になった吉村氏は官邸訪問に先立ち、自民党の二階俊博幹事長らとも面会。政府与党とのパイプも示した。新幹線で上京し、人の少なさを感じたという。「(街にも)ちょっと人が少ないなと思う。社会経済のダメージは、東京でも出ているという印象は持ちました」と、コロナ禍で様変わりした東京の感想も語った。【佐藤勝亮】