将棋の最年少プロ、藤井聡太七段(17)が16日、大阪市の関西将棋会館で指された第91期棋聖戦5番勝負の第4局で渡辺明棋聖(36)に挑み、史上最年少で初タイトルを獲得した。

17歳11カ月での初タイトル獲得は、90年に屋敷伸之九段(48)が作った18歳6カ月のタイトル獲得最年少記録を30年ぶりに更新した。将棋界で高校生のタイトル獲得は史上初。前例のない快挙に日本中の将棋ファンが沸き立った。

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「私が東大学長なら、すぐに合格させます」

脳科学者の茂木健一郎氏(57)は、高3で受験生でもある藤井棋聖の「脳力」を高く評価している。「米国なら、ハーバードでもスタンフォードでもどこでもAO入試で入れます」とも付け加えた。

藤井の頭脳の大きな特徴として、「詰め将棋の作者であること」を真っ先に挙げた。解くだけではない。作るために考える。これが脳を鍛えるのに役立つ。

同じ場面を、09~12年にメインパーソナリティーを務めた「全国高等学校クイズ選手権」でも見た。優勝常連校で、東大にも数多くの合格者を出す開成(東京)や灘(兵庫)の学生が、クイズを作って出し合うことを必須の練習としていた。「問題を作ることで、外から客観的に物事を見る能力が鍛えられる。それが脳を発展させるすごさにつながる」(茂木氏)。

盤面で驚かされたのは、棋聖戦第2局、伝説の後手3一銀だ。この一手、最強将棋ソフトは4億手読んでも出ず、6億手に拡大して、やっと候補の1つに出た。藤井は23分考えて、指した。「彼の根本的な将棋脳の特徴。定跡にない手をゼロの状態から考える。丸暗記より、問題を考えながら解いて伸びる子の典型。晴れやかで自由で伸びやかな、子どもたちのモデル」と話した。