健康不安が指摘される安倍晋三首相は19日、4日ぶりに公務に復帰した。官邸入りの際、取材に「体調管理に万全を期すため(17日に病院で)検査を受けた。これから再び仕事に復帰して頑張っていきたい」と述べ、健康不安説の払拭(ふっしょく)に努めたが、マスクを外した笑顔は硬く、足取りも重かった。ほおの肉も落ちていた。官邸滞在は、約5時間だった。

首相の健康不安の原因をめぐっては、持病である潰瘍性大腸炎の悪化ではないかとの見方が、自民党内に広がっている。首相は、この病気の主治医がいる慶応大学病院を、17日に受診した。潰瘍性大腸炎の悪化で第1次政権退陣に追い込まれたが、辞任後、新薬の投薬治療などを受けて病気を克服。12年12月の第2次安倍政権発足後、体調に深刻な問題が生じることはほとんどなかったとされる。

ただ、関係者は「この病気はストレスが大敵。今年、首相は新型コロナウイルス対応で気が休まることはほとんどない」と話す。政治とカネの問題も抱えた。首相周辺からも「ストレスで胃腸の調子が悪化したようだ」との、指摘が出ている。17日の受診について、首相サイドは詳細な内容を公表していない。病状が深刻な場合、進退問題も浮上しかねない。臆測ばかりが広がる中、病状について自らの口から説明した方がいいとの声も出始めた。

首相はこの日、執務室で側近の萩生田光一文科相と面会したほか、新型コロナウイルスの状況報告を受け午後6時すぎに帰宅した。萩生田氏は面会後の取材で、首相に「お疲れではないか。(もっと)夏休みを取った方がいい」と進言したが、首相は「大丈夫だ。責任を持ってしっかり陣頭指揮を執りたい」と、応じなかったと明かした。