社会現象を巻き起こした吾峠呼世晴(ごとうげこよはる)さんの人気漫画「鬼滅の刃」の最終巻となる23巻が4日、発売され、本を求めて各書店で長い列ができた。版元の集英社によると23巻は初版395万部で、1巻からの累計発行部数(電子版含む)は1億2000万部を突破した。登場人物4人のフィギュア付き「特装版」は、さらなる争奪戦となった。

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「鬼滅の刃」最終23巻の発売に関連し、506円(税込み)の通常版以上に注目されたのが5720円(税込み)の特装版だ。竈門炭治郎(かまど・たんじろう、アニメの声=花江夏樹)、妹禰豆子(ねずこ、同=鬼頭明里)、我妻善逸(あがつま・ぜんいつ、同=下野紘)、嘴平伊之助(はしびら・いのすけ、同=松岡禎丞)のフィギュア4体が同梱されているものだ。

5月上旬から各通販サイトで予約受け付けが始まり、6月18日に締め切られた。一部で11月に予約が再開も発売2週間前に完売。アニメの“聖地”東京・秋葉原の多くの店でも発売当日の店頭販売はなく、大手通販サイト内のショップでも、発売前から定価の2倍の1万2000円で予約を受け付けた店もあった。

その中、都内の一部の書店では4日正午を過ぎても特装版が売られ、予約できなかった客が列をつくった。記者も並び、店員に「特装版、ありますか?」と聞くと「まだ大丈夫です」と答えた。その声を聞き付けて、通行中の老若男女が並び、列は一気に10メートルほど延びた。特装版は5月13日発売の20巻以降、ポストカード、シール、缶バッジと4巻連続で発売されたが、店員は「過去は40人程度の列でしたが、今日は開店時に100人以上並び、列が何重にもできた」と驚いた。

同店は「購入は1人1冊」と条件を付け、販売レジを限定した上で、客をチェックする店員までつけた。売れても売れても、コミックスを店の奥から出し、店頭に並べる“無限販売”状態。過呼吸気味になる女性店員もいた。【村上幸将】