小型惑星探査機「はやぶさ2」が5日午後2時30分、小惑星「りゅうぐう」で採取した岩石や砂などを収納したカプセルの分離に成功した。

高度22万キロで分離されたカプセルは6日午前2時47分ごろ、オーストラリア南部ウーメラの砂漠地帯に着地する。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の管制室は2度の歓声、拍手に沸いた。世界最先端の高精度制御技術を駆使したカプセル分離に続き、はやぶさ2を地球の引力から離脱するため、3度のアクロバチックな軌道変更による「地球圏離脱軌道」も見事に成功させた。

先代のはやぶさ初号機から担当する久保田孝JAXA教授は「ミッションを完璧にこなした。完全、完璧以外には言うことはない」と感慨に浸った。初号機は世界で初めて小惑星の物質を地球に持ち帰ったが、航行中に何度もトラブルに見舞われ、4年の運用計画は7年まで延長した。

2014年12月の打ち上げから約6年を経て、ミッションは最終章に入った。カプセルは6日午前2時28分27秒に高度120キロの大気圏に突入し、同28分49秒~29分25秒に落下する火球として肉眼でも確認され、同31分に高度80キロでパラシュートが展開、同47分~57分に着地する。採取した試料は太陽系の起源に探るカギがあると期待される。

完璧なミッションを達成した「はやぶさ2」は、地球に帰還することなく、別の小惑星探査などへ向かう。光学航法カメラなどによる観測を続け、設計寿命7年の、最後の最後まで宇宙をはばたく。【大上悟】