新型コロナウイルス感染拡大が続くこの年末年始、都内で生活する学生の中に、行き場をなくし“コロナ難民”になりかねない環境に置かれるケースが出ていることが29日、分かった。

大学の学生寮や部活動の寮の中には、年末年始に管理人や食事提供者の休日確保などを理由に閉寮する場合も多い。例年なら故郷に戻って正月を迎えるが、今回は国や都道府県の帰省自粛の呼びかけもあり自主規制し、都内のホテルやネットカフェなどに宿泊する決断をした学生もいる。

政府の観光支援事業「Go To トラベル」も全国的に一時停止され、ホテル代や食費を含めて経済的に逼迫(ひっぱく)しているケースもある。

運動部の専用寮で生活している男子学生(21)は「来年の7日まで寮は閉鎖。毎年のことだから仕方ないのですが、今年はホテルに泊まります」と明かした。実家は石川県。公務員の父と看護学校教員を勤める母に相談し、帰省はあきらめた。

「母は医療関係者。万が一、地元の人たちにうつしてもいけない。Go Toで少し安くなる予定でしたが、ちょうど一時停止に重なった。(支援を受けたため)金銭的には親に迷惑をかけました」。これまでは地元の恩師や友人へ近況報告を行うことで士気を上げ、正月明けの練習に臨んでいたが「今年は体を緩めずにトレーニングします」と、懸命に前を向いた。友人の中にも、受験を控えた兄弟や同居する祖父母への感染懸念を考慮し、同じようにホテル暮らしをする人もいるという。

島根県出身の男子学生(21)は「山陰はかなり感染者が少ない。東京から帰ると家族に迷惑もかかる」と話す。親からは缶詰やレトルト食品などの仕送りも届き、経費削減に努める。「楽しみながら就職活動の調べ物の時間に費やします」と、こちらも前を向く。

大学、家庭、個々の事情があるとはいえ、帰省自粛によって行き場を失う学生たち。“ステイ ホテル”には支援がない状況も、もどかしい。