人生1度の晴れ舞台「成人式」が、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けている。成人式は早いところでは3日から全国で開催が始まっているが、中止や延期に加え、規模縮小が続出している。2日に首都圏1都3県の知事らが政府に対して緊急事態宣言の発令を要請したことで、11日開催の東京23区の各自治体も中止や延期の再検討を余儀なくされた。20年目を迎える千葉県浦安市の「ディズニー成人式」開催も危ぶまれてきた。

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政府の緊急事態宣言が発令されれば、1都3県の成人式開催事情も大きく様変わりしそうだ。すでに東京23区では大田、世田谷が中止を発表。多くが、会場や回数を分散させるなど感染予防対策を考えて実施準備を進めている。ある区の職員は「緊急事態宣言ということになれば開催は難しくなってくる。新成人の方には本当に申し訳ない思いですが、変更せざるを得ないかもしれません」と語った。3日に開催した鳥取県若桜町や日吉津村では新成人にPCR検査を実施して開催。だが、規模の大きい自治体ではそれも困難だ。

浦安市では02年から東京ディズニーリゾートで「ディズニー成人式」を行ってきた。参加を求め、成人前に引っ越す人もいるという人気イベント。コロナ対策でディズニーランドの劇場「ショーベース」が休止中のため、初めてディズニーシー「ブロードウェイ・ミュージックシアター」に会場を変更し、4部制の分散開催で実施することが昨年11月に発表されている。市では感染拡大状況によってはさらなる変更の可能性もあるとしている。

首都圏以外でも中止や5月の大型連休などへの延期を決定している自治体もあるが、数多くの工夫も凝らしている。大分市では式典に変わる企画として「成人記念フォトコンテスト」を実施。インスタグラム投稿や、郵送、メールなどで応募。入選者には賞状や盾だけでなく特産品が贈呈される。期日未定の延期が決まった栃木県宇都宮市では、すでに予約していた晴れ着などのキャンセル料を助成する検討もされている。

故郷に友人と集って大人の自覚も芽生える「成人式」。開催自粛は仕方がない部分はあるが、記憶に残る代替案の検討を願う。【鎌田直秀】