東京オリンピック(五輪)・パラリンピックに宇宙からエール! 星出彰彦宇宙飛行士(52)が日刊スポーツの単独インタビューに応え、自身3度目の宇宙飛行に向けて訓練中の米テキサス州ヒューストンからオンラインで新年のメッセージを伝えてくれた。今春、スペースXのクルードラゴンで国際宇宙ステーション(ISS)に向かい、船長を初めて務める星出さんは、世界中のコロナ禍収束を祈り、夢と希望を語った。【取材・構成 大上悟】

-前回のインタビュー時の口ひげが、今はさっぱり

星出さん 口ヒゲは大丈夫なんですが、あごひげはダメなんですよ(笑い)。例えば酸素マスクは鼻の上からあごまであるので、実はあごひげはNGなんです。

-野口聡一宇宙飛行士が昨年11月、初の民間宇宙船スペースX社「クルードラゴン」に搭乗し、宇宙服がハリウッド映画「バットマン」のデザイナーによるもので野口さんも絶賛でした

星出さん いい質問ですね(笑い)。スペースシャトル、ソユーズの与圧服と比べて動きやすさと軽さを感じる。機能性を維持しつつ、スタイリッシュ。

-宇宙飛行船はタッチパネル操作で操縦され、グローブもタッチパネル仕様、シートもリクライニング可能と進化しています

星出さん スマホでも使われているようなタッチパネル対応のグローブです。スペースX社が民間の宇宙旅行を念頭に置いているのを感じる。これまで訓練に何年もかけた宇宙飛行を民間の方が、比較的自由に行けるようになるでしょう。

-今回、若田光一さん以来、日本人2人目のISS船長として、楽しみにしているミッションは

星出さん 難しい質問になりましたね(笑い)。打ち上げ時期によって、どんな実験をするかが、変わるので今は具体的に言えない。安全に気を配り、楽しんでミッションを遂行したい。

-ISS滞在中の野口さんは「食レポ」おじさんとして日本食を中心に宇宙食を紹介中です。星出さんも

星出さん 野口さんが全部やってしまったら、できないかな(笑い)。バラエティーがあり、地上で食べる親しみのあるものが食べられるのは精神、心理的にも大事です。これから宇宙旅行に行く人が増えると、非常に重要なことです。

-東京五輪・パラリンピックを宇宙から観戦します

星出さん 打ち上げが延期された時に観戦は終わったな、と思っていましたが同じタイミングになるので他のクルーも楽しみにしている。アスリートのみなさんもコロナ禍で大変な思いをされて準備された。努力と成果を発揮してほしい。

-星出さんは中学時代に競泳、大学でラグビー部でした。注目する競技は

星出さん 各種目に期待してます(笑い)。前回は船内で平泳ぎをしましたが、うまく泳げなかったので今回こそは(笑い)。

-新年を迎えて

星出さん コロナ禍の大変な状況で油断はできないが人類には歴史的な危機を乗り越える英知がある。

-野口さんは搭乗前のゲンかつぎに「カツカレー」を食べ、人気アニメ「鬼滅の刃」の引用を連発した

星出さん 「おいしい」ところを持っていかれてしまった(笑い)。野口さんに負けないよう、打ち上げ時にはやっているキャッチを考えます(笑い)。いいアイデアがあれば、教えてください。はやぶさ2の大成功や野口さんも含め、明るいニュースになれば。