東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会の会長に就任したばかりの橋本聖子参院議員(56)が19日、自民党に離党届を提出した。党紀委員会の22日の審査を経て正式に受理される。

橋本氏はこの日午後5時過ぎ、日刊スポーツの取材に議員辞職については否定した。午前は離党を否定していたが一転、五輪の政治的中立性の観点から野党の批判を受け、午後に離党の意思を固めた。国会審議への影響も考慮し、判断した。

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橋本氏が一転、自民党離党に追い込まれたのは、会長職の政治的中立に関して必要な判断を誤ったためだ。19日、離党否定後に面会した立憲民主党の安住淳国対委員長は、橋本氏に、自民党籍のまま会長を続けることは「自民党の自民党による自民党のための五輪になり、会長就任に冷や水を浴びせる」と伝えたと、党代議士会で明かした。「そういうことをジャッジメントできないことは、これから(組織委会長として)正しい判断をやっていけるのか心配もあった」。橋本氏は「考えたい」と伝え、その後、離党を表明した。

今後は議員辞職の是非が焦点だ。橋本氏は辞職せず無所属で議員活動する意向だが、東京大会への最終調整が佳境に入る3月は、参議院で予算案審議も本格化する。予算は国会議員の最重要案件。議員歳費を受け取りながら、会長職を理由に国会欠席が続けば「(国会欠席中の歳費受け取りが批判された)河井案里さんのような批判を受けるのではないか」(安住氏)。

橋本氏は比例代表選出で、仮に辞職なら比例名簿から1人繰り上がり「橋本氏が戻る場所はなくなる」(政界関係者)。橋本氏は19年に5選されたばかりで次の参院選は来年だ。会長就任へ全力説得した官邸や自民党は積極的に辞職を勧められず、難しい判断を迫られそうだ。【中山知子】

<橋本氏の動き>

午前10時すぎ 橋本氏が自民党本部を訪れ、二階俊博幹事長と面会

午前11時 面会後 報道陣の取材に応じ、離党や議員辞職を否定。「疑念を持たれないようしっかりと行動する」

その後 立憲民主党の安住淳国対委員長にあいさつに出向く。安住氏はこの場で、橋本氏に自民党離党の必要性を伝える

午後1時ごろ 組織委員会で職員らにあいさつ

午後2時すぎ 小池都知事が定例会見で橋本氏の今後の身分について「分かりやすい形が望ましいのではないか」と述べ、政治活動と一線を画す必要性を指摘。

同 橋本氏が離党の意思固めるの一報

午後3時半 丸川珠代五輪相との新旧大臣引き継ぎ

同4時ごろ 自民党本部を訪れ、離党届を提出。「所属政党に所属を続けていては(多くの方に)理解をしていただけない」

同4時45分 都庁で小池都知事に面会