米ジョージア州アトランタ周辺でマッサージ店が銃撃され、アジア人女性6人を含む8人が亡くなる事件が16日に起こり、アジア系住民への憎悪犯罪(ヘイトクライム)が全米に衝撃を与える中、カリフォルニア州サンフランシスコで白人男性に襲撃された76歳の中国人女性が猛反撃して男性を病院送りにする事件が起きた。

ABCテレビなどによると、17日に信号待ちをしながら電柱に寄りかかっていた女性が39歳の男性に突如顔面を殴られ、持っていた木の棒のようなもので応戦して男性を撃退したという。現場に居合わせた目撃者が撮影した動画では、右目を負傷した女性が木の棒を手に中国語で叫んでおり、傍らには駆けつけた救急隊員によって担架に乗せられた顔から血を流す男性の姿が映っている。女性は右目から流血するなどの負傷で病院に運ばれて手当てを受けたというが、命に別状はなかった。

手錠をかけられて担架に横たわる男性に対しなお木の棒を手に「この野郎、なんで殴ったんだ」と叫び、女性警察官になだめられている様子からは恐怖心が伝わってくるが、女性の孫によると精神的にも大きなダメージを受けて恐怖から外出できなくなったといい、心的外傷後ストレス症候群(PTSD)を訴えている。警察のその後の捜査で、容疑者の男性は同地区で他にも83歳のアジア系男性にも暴行を加えていたことが明らかになり、アジア系を標的にしたヘイトクライムだった可能性が高いとみられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子)