22日午前0時に解除された1都3県の緊急事態宣言の最終日となった21日、桜の名所で例年大勢の花見客が訪れる東京・目黒川沿いの飲食店からは「ピークは来週以降で例年より人出が増える可能性がある」と解除後の反動を懸念する声が上がった。この日は強風と強い雨のせいか、花見客はまばらだった。

コロナ禍前の花見シーズンは、例年約300万人の人が訪れていた。目黒区の青木英二区長は、8日と15日の2度に渡り、昨年同様、花見の自粛を呼びかけるメッセージを発信している。川沿いには「花見はお控えください」と書かれた看板が設置され、両岸の歩道には立ち入り禁止のテープが張られている。

川沿いのカフェの店長によると「20日は例年と変わらない人出で、お店も外にまで行列ができていました。解除されれば例年を超える印象があります」と語った。中目黒駅近くのすし屋の店員は、桜の見ごろの時期を来週とみており「忙しくなりそう。皆コロナに対して恐怖心が薄れてきている」と話した。川沿いの道は、警備員が交通整備を行っている。警備員によると、解除以降は「車が通れなくなるほど歩行者が増える可能性がある」とし、警備員を3、4倍に増やす予定だという。

人出が少なかった目黒川沿いに比べ、渋谷駅周辺は多くの人でにぎわっていた。宣言解除について、都内の大学に通う女子学生(20代)は「効果が感じられなかった。禁止されていたダンスのサークル活動ができるようになってうれしい」と喜んだ。40代の会社員男性は「政府は宣言を延長してきただけだった。解除後は感染者はより増えていきそう」と不安視した。【沢田直人】

○…目黒区の青木英二区長は昨年に引き続き、コロナ禍での目黒川周辺の花見の自粛を呼びかけている。

8日、目黒川は両岸の道が狭く、公園のように入場制限を設けることができず、密集してしまうとして自粛を「強くお願いをしたい」と訴えた。さらに15日には都内の感染者の下げ止まり、変異株の拡大を危惧しているとし「ここに多くの方がお見えにならないように重ねてお花見の自粛を強く地元区長としてお願いを申し上げたい」と再び発信した。区長は20年3月にも「目黒川の桜も悲しんでいます。来年もまた桜は咲き、皆さんをお出迎えします」と自粛を呼びかけていた。区が東急電鉄からの情報提供を元に公表している20年3月17日から4月1日までの16日間の中目黒駅の乗降客数は、前年より156万人少ない約155万人だった。