北朝鮮の東京オリンピック(五輪)不参加表明について、朝鮮半島情勢に詳しいコリア・レポートの辺真一編集長に聞いた。

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真っ先に不参加を表明することは、北朝鮮にとってもマイナスにみえる。韓国がIOCに32年南北共催案を出したばかりだし、IOCの感情も害する。確かに北朝鮮はコロナを恐れ、完全に鎖国し過剰な防疫体制を敷いてきたが、このタイミングで表明したのには政治的思惑があり、韓国と日本に冷水を浴びせたのではないか。

韓国では7日にソウルと釜山の市長選の投開票があるが、与党が苦戦している。文在寅政権は南北関係が好転すれば、支持率が上がる。文氏は東京五輪で北朝鮮と会談したいと再三言ってきたが、破たんした。野党はここぞとばかり、文氏の北朝鮮政策は失敗したと非難している。北朝鮮には、18年首脳会談の約束を全部不渡りにし、米韓合同軍事演習も行った文氏への憤りがある。そのとどめが、このタイミングでの発表だったんじゃないか。

菅政権も、拉致問題解決の突破口は東京五輪では無理だと突きつけられた。