新型コロナウイルス感染の急拡大が続く大阪府は20日、対策本部会議を開き、政府に対し緊急事態宣言発令を要請することを正式決定。これを受け政府も宣言を近く発令する方針を固めた。宣言が出されれば、昨年4月と今年1月に続いて3度目。さらに、飲食店には酒類の提供停止を含む休業を要請し、府内でのプロ野球などスポーツイベントについて、大阪府の吉村洋文知事(45)は「原則、中止、延期をすべきだと思っている」とした。

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大阪府は20日、新型コロナウイルスに1153人が感染したと発表した。1日当たりの感染発表数が初めて1000人を上回った13日以降、1000人超えは7回目。火曜日としては過去最多となった。関西では感染力が強いとされる新型コロナウイルスの変異株が主流となり、医療体制の限界を超えた。感染拡大が止まらない中、吉村知事が重い決断をした。

「現在の大阪の感染状況は厳しく、医療が極めて厳しい。大きく感染を抑えられる状況になっていない。国に対して緊急事態宣言を要請すると判断をした」。府は対策本部会議を開き、政府に対し緊急事態宣言発令を要請することを正式決定した。

3度目の宣言が出された場合、人と人との接触を避けるなど、さらに強い対策が必要として、府内の飲食店、百貨店、テーマパーク、映画館などに休業要請などを行う考えがある。また府内で開催されるプロ野球、Jリーグなどのスポーツイベントについて、吉村知事は「緊急事態宣言期間中は原則、中止、延期をすべきだと思っている」とし、「詳細については政府と相談して判断していきたい」。宣言期間については「1カ月程度が適切だと思う」と述べた。

飲食店にはさらに“死活問題”となる対策が盛り込まれそうだ。宣言期間中の飲食店での酒類の提供停止だ。国に対して3案を上げていると明かした。

<1>すべての飲食店への休業要請<2>土、日、祝日の休業要請と平日の午後8時までの時短営業で酒類の提供自粛<3>休業要請はなしで、午後8時までの時短営業で酒類の提供なし。吉村知事は「お酒の提供を控えてくださいというのは、すべてに入っている条件です」と苦渋の表情で語った。

大阪では5日から「まん延防止等重点措置」が適用されたが、感染拡大傾向は止まらず、医療体制は「災害レベルの緊急事態だ」との声もある。緊急事態宣言の先行解除から約1カ月半。再び窮地に立たされた吉村知事は「府民や事業者は大きな負担になるが、協力をお願いしたい」と言葉を絞りだした。【松浦隆司】