東京都医師会の尾崎治夫会長は11日、定例会見で急増する変異株による新型コロナウイルスの感染拡大の現状と、東京オリンピック(五輪)・パラリンピック開催へ危機感を示した。

この日、都内の新規感染者数は925人と、前日10日の573人から増加し、変異株も急拡大している。徹底した水際対策、変異株対策が急務で、五輪が開催された場合に危機的な状況に陥る可能性にも言及した。

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3度目の緊急事態宣言が今月31日に延長されるまでの解除期限だった11日、尾崎会長は変異株の脅威を訴えた。「どんどん変異株が入って来ることを許してしまうならば、せっかくワクチンによる新しい世界が開けることが遠ざかる」と、政府に対して水際対策の強化を要望した。

尾崎会長は東京五輪・パラリンピック開催にも危機感をあらわにした。特に「問題は(海外)メディア、(大会)スポンサー、スポンサーゲストという方が今のところ、どういう形で日本にいる間に感染症対策をするのか。まったく情報がない」と危ぶむ。「無観客開催ということになっても、いろんな国で変異株が出ている。オリンピック期間中にどんどん入って来ることになると、日本が厳しい状況になる可能性が高い」と指摘した。その上で「未知の変異株がどんどん広がりを示すと、今後ワクチン対策が、めちゃくちゃになってしまう」と警鐘を鳴らした。

五輪開催の条件について尾崎会長は「全体的にステージ2とか、東京で言えば、もしオリンピックやるのであれば、100人以下にするとか、そういうことを真剣にやっていかないと安全なオリンピックにつながらない」と断言した。「オリンピック関係者だけ、しっかり対策を練れば、大丈夫なんだという政府関係者もいますけれど、それは間違いなんじゃないかと思う」と批判した。【大上悟】