自転車で車の前に急に飛び出し、住民から「ひょっこり男」と呼ばれていた埼玉県桶川市の無職・成島明彦被告(33)にさいたま地裁(中桐圭一裁判官)は17日、懲役8月、罰金20万円(求刑・懲役10月、罰金20万円)の実刑判決を言い渡した。全国で初めて自転車に道交法のあおり運転の適用された事件の判決。

中桐裁判官は「妨害運転で嫌がらせすることで快感を得ようとする身勝手極まりない犯行。被告人は懲役2年、執行猶予4年で保護観察中であったにもかかわらず、犯行を繰り返しており、勤務先を解雇されるなど社会的制裁を受けているなど酌むべき事情を考慮しても軽く見ることはできない」と量刑理由を説明した。

「自転車の妨害運転だけでなく、粗暴な犯罪を繰り返すことがないように」と中桐裁判官は諭したが、金髪のロン毛を後ろでまとめた成島被告は両手を後ろで組んで、体を揺らし続けながら聞いていた。成島被告は昨年9~10月、桶川市や千葉県流山市で自転車で走行中、急に車の前に飛び出すなどし、道交法違反や暴行など5つの罪に問われていた。成島被告は以前から車に自転車を接近させる行為を繰り返し、昨年2月、道交法違反(安全義務違反)や暴行で有罪判決を受け、執行猶予期間中だった。【中嶋文明】