藤沢里菜女流立葵杯(女流本因坊・女流名人=22)への挑戦権を争う、囲碁の第8期会津中央病院・女流立葵杯挑戦者決定戦、牛栄子(にゅう・えいこ)三段(22)対上野愛咲美女流棋聖(扇興杯=19)戦が16日、福島県会津若松市「今昔亭」で打たれた。午前10時から始まった対局は、午後2時10分、142手までで白番(後手)の上野が中押し勝ちして、2年ぶり2回目の挑戦権獲得となった。「序盤に後悔するようなすごい失敗をして、午前中は苦しかった。午後からちゃんと打てば何とかなると思いました」と、振り返った。

今期の立葵杯は白番(後手)の上野は、タイトルホルダーのため予選は免除され、8人による本戦初戦では奥田あや四段(32)を下した。15日に同所で打たれた準決勝で加藤千笑二段(19)に白番中押し勝ちした。

一昨年の挑戦手合3番勝負では藤沢に連敗した。「悲惨な内容だったし、今回はそうならないようにしたい」と気を引き締める。女流5大タイトルを分け合う両者の頂上対決は今回で7回目(昨年、一発勝負で行われた「第1回博多・カマチ杯」を含む)。過去は藤沢が4勝、上野が2勝。一昨年の女流棋聖戦3番勝負で初めてぶつかって、上野が連勝でタイトルを防衛した。直近では今年4月の女流名人戦3番勝負で上野が挑戦者になったが、やはり連敗している。

立葵杯はコロナ禍による対局の見直しもあって、今期は15日に挑戦者決定戦準決勝、16日挑戦者決定戦、18日に3番勝負第1局、19日同第2局(すべて「今昔亭」)という強行日程が組まれた。上野は中1日でのタイトル戦となる。「本当なら相手の研究をしたい方なので、時間がないとあたふたしてしまう。今回は流れがいいし勢いに乗ってやれれば」と言う。

14日の前日検分から第2局を終えて移動となる20日まで1週間、会津に滞在する。習慣としているなわとびはもちろん持参。対局前に近くで跳んでいた。タイトル戦までを想定して、着替えも1週間分用意してある。「明日(17日)は足湯にでもつかってゆったり過ごそうと思います」と笑う余裕すらあった。

上野は昨年9月の扇興杯からタイトル戦皆勤賞。戦い方は知っている。「強い里菜先生と打てるだけでもうれしい。頑張ろうと思います」と張り切る。女流立葵杯5連覇がかかる藤沢との対決に注目だ。

なお、3番勝負が1勝1敗となった場合、最終第3局は7月2日、東京・市ケ谷で打たれる。