将棋の最年少2冠、藤井聡太王位(棋聖=18)に豊島将之竜王(叡王=31)が挑戦している、「お~いお茶杯第62期王位戦7番勝負第2局」が14日、北海道旭川市「花月会館」で行われた。13日午前9時からの2日制で始まった対局は、14日午後6時59分、102手で後手藤井が勝ち、1勝1敗に追いついた。第3局は来週21、22日、神戸市「中の坊瑞苑」で行われる。

明らかに劣勢だった。序盤の作戦負けが尾を引き、押され気味になる。「形勢は苦しいと思っていました」と振り返った。持ち時間も減る。午後3時30分の段階で残り時間は60分を切った。相手はまだ2時間25分もある。粘って、攻勢を仕掛けた豊島のスピードが緩んだ瞬間を見逃さなかった。「後手7七桂(90手目)と打って、こちらの玉が詰まない形になった」。逆転の手応えをつかんだ。

過去1勝7敗と最も相性の悪い豊島から、通算2勝目を挙げた。地元名古屋で行われた開幕局(6月29、30日)は、見せ場なく完敗。持ち時間を1時間41分残し、午後3時35分と早い投了劇になった。第2局前日(12日)には、「(第1局は)持ち時間を残しての終局が反省点。(時間を)有効に使って戦いたい」。みごと終盤の逆転劇につなげた。

今月に入り、棋聖初防衛を皮切りにこれで4連勝。難敵からの勝利で、弾みも付く。昨年の王位戦7番勝負第2局の北海道対局(7月13、14日、札幌市)でも大逆転を演じた。その2日後に史上最年少初タイトルとなる棋聖を奪取。王位もストレートで奪取した。北の大地からの逆襲なるか? 「気持ちを新たにして精いっぱい頑張りたい」。連敗と1勝1敗では大違い。王位戦が、がぜん面白くなってきた。【赤塚辰浩】