東京五輪陸上女子の東欧ベラルーシ代表で、チームによる強制帰国を拒否し亡命を希望したクリスツィナ・ツィマノウスカヤ(24)について、保護している在日ポーランド大使館(東京)のミレフスキ駐日大使は3日、オフィスで面会した写真をツイッターに投稿し、「彼女は元気です」などと報告した。

ポーランドは人道的査証(ビザ)を発給。反政権派のラトゥシコ元文化相は「ワルシャワに出発するまで同大使館にとどまる。飛行機にはポーランドの領事とともに搭乗する」などとツイート。支援する団体関係者は、4日に出国する見通しとした。欧州メディアによると、彼女の夫も隣国ウクライナに出国しており、ポーランドで合流する予定。

ツィマノウスカヤは7月30日に100メートル予選に出場し、2日の200メートル予選にも出場予定だったが、経験がない1600メートルリレーへの出場を一方的に決められたとしてSNSでコーチを批判したところ、帰国を命じられた。1日に羽田空港に連れてこられたが、帰国すれば投獄の恐れもあるとして警察に保護を求め、2日にポーランド大使館に入った。国際オリンピック委員会(IOC)は3日、正式な調査を始めるとした。

ベラルーシはルカシェンコ政権による強権支配が続き、国際社会から欧州最後の独裁国家と批判されている。今回についても、欧州連合(EU)や米国などが相次いで非難。米ブリンケン国務長官は「ルカシェンコ政権は、国境を越えた抑圧行為に出ようとした。言論の自由を行使しただけで、帰国させようとした。このような行為は、五輪精神に反し、基本的権利とかけ離れ、容認することはできない」などとツイートした。