新型コロナウイルス感染者に占める子どもの割合が増加している。子どもへの感染経路は、大人が外部から持ち込む家庭内感染が多かったが、子どもから子どもへ感染する新しいケースも見られている。千葉県船橋市の学習塾では100人のクラスターが発生し、東京都板橋区や神奈川県横浜市の保育園でも園児の集団感染があった。厚労省が集計した新規感染者の年代別割合によると、20代未満の割合が昨年まで1割を切っていたが、今年の3月以降は1割以上となった。

萩生田光一文部科学相は20日、閣議後会見で夏休み明けの新学期の学校について「全国一斉の休校要請は考えていない」と慎重な考えを示した。その上で「学校は子どもの学習や発達を保障する重要な役割がある」と指摘した。日本医師会の中川俊男会長は18日の会見で「新学期が始まって児童生徒を集団感染からどう守るのか。文科省には具体的手だてを早急に講じるようお願いします」と述べた。中川氏は甲子園出場校で感染者が出て試合を辞退した事例を挙げ「明確な対策基準を早めに示したほうがいいと思う」と話した。

都の教育委員会は17日に、都立の各校長や区市町村教委の教育長らに夏季休業明けの留意事項を通達した。感染状況をふまえ、短縮授業や時差通学の徹底に加え、修学旅行などの宿泊を伴う行事は延期または中止とし、都内での代替活動の検討、部活動の都外での練習試合や合同練習などを取りやめなどを依頼した。

子どもの感染は重症化のリスクがあるのか? 厚労省によると、各年代の重症化率は、30代と比較した場合、10代未満が0・5倍、10代が0・2倍となっており、60代の25倍、70代の47倍、80代の71倍と比べ低い値となっている。しかし、東京都世田谷区の小児科「世田谷子どもクリニック」の副田敦裕院長は「重症化につながるケースは少ないがゼロではない。症状は大人と同じように苦しくなることがある」と警鐘を鳴らした。学校再開が迫る中、パラリンピック観戦の問題もあり、教育現場には不安が広がっている。【沢田直人】