自民党総裁選(17日告示、29日投開票)に出馬しないことを表明していた菅義偉首相(72)は9日午後7時から首相官邸で記者会見した。電撃的に退陣表明した先週3日から6日ぶりに報道対応した。

質疑応答では、新型コロナ対策での反省すべき点を問われた。首相は「全力で取り組んできた。当時は全体像がまったく分からない中で海外での先行例をみながら取り組んできたが、医療体制をなかなか整えられなかった」と振り返った。

その上で「ワクチンが切り札だと思っている。政府としてはワクチン接種に全力で取り組んできた。抗体カクテルも効果が出始めてきた」とし「私ができなかったことは病床を整えられなかったということ。次の政権にはワクチン、治療薬、現状を引き継いでもらいたい」と言葉をつないだ。

3日の会見はわずか約2分、一方的に退陣理由を語って会見を打ち切った。「新型コロナ対策と総裁選の選挙活動には莫大(ばくだい)なエネルギーが必要であり、両立できない。コロナ感染防止に専念したいと判断した。総裁選には出馬をしない」と述べた上で「来週にでも会見します」と述べて、報道陣の質問に一切答えることなく、きびすを返して立ち去った。

首相はこの日の会見に先立って、新型コロナウイルス感染症対策本部で、10~11月の早い時期までに希望する人々全員へのワクチン接種が完了するとの見通しを示し、「それに向けてワクチンの接種証明や検査の陰性証明を活用し、制限を緩和していく」とも述べていた。