ハンバーガーチェーン「モスバーガー」を展開するモスフードサービス(本社・東京都品川区)が9日、都内で新商品「グリーンバーガー〈テリヤキ〉」の発表会を実施し、企画開発担当は「コロナ禍だからできた傑作」とヒット商品となる自信をみせた。全国約1300店の全店舗で今月22日から販売開始する。

会社のイメージカラーも緑にするモスバーガーらしい新商品で、動物性食材を一切使っていない。バターではなく豆乳クリームとホウレン草ピューレでバンズをつくり、パティは大豆ベースでシイタケエキスやこんにゃく、キャベツで甘みを引き出した。もっとも特徴的なのはテリヤキとグリーンマヨネーズのソース2種を専用容器「パキッテ」に入れて、自分の好きなタイミングと量を付け足しでかけられることだ。

パキッテとはホットドッグ購入時にケチャップとからしが2層構造で入っていて、中央部分を折り曲げると中身が飛び出す構造のソース専用容器を指す。

グリーンバーガーは昨年3月、380店限定でメニュー化した動物性食材を使用しないバーガーで、この1年半で約80万個を売りあげていて、一部店舗での販売商品ではあったが新型コロナウイルスが拡大・まん延して以降のヒット商品といえる。ファンから「これでテリヤキ味がほしい」との要望が高く、そのリクエストに応じた第2弾企画となった。

商品開発を担当した同マーケティング本部商品開発部長の濱崎真一郎さん(50)によると、テリヤキ版を出す際に最も頭を悩ませたのは「どこでテリヤキソースをかけるか」だった。

濱崎さん テリヤキソースはモスバーガーの大看板なので失敗はできない。でも、このコロナ禍で来店してすぐ食べるわけでもない。デリバリー業者に注文して食べていただくシーンもある。ソースがバンズにしみ込んだ状態を好む方もいるけれど、出来たてのおいしさをどう提供すればいいのか、かなり悩みました。

ヒントになったのは大手牛丼チェーンに立ち寄ったとき、ある定食にかけるソースがパキッテに入って出てきたことだったという。当時はパキッテという名称があることすら知らなかった。ソースをかけるときに手が汚れず、このコロナ禍で衛生面でも秀でている。ソースは、からしとコショウを配合したキレのあるテリヤキと、卵の代わりに枝豆を混入した特製グリーンマヨネーズを開発していた。濱崎さんはパキッテなら「いける」と確信した。

しかし、ハンバーガーショップとしての誇りが社内から反発要素となった。

濱崎さん 決め手のソースがかかっていない時点で完成品ではないんです。そこは私も気になっていた。でも、今の時代背景を考えるとこの容器を使わないと新商品として成り立たない。そこは何度もソースの試作をつくって、性質の違う2つのソースのかかり方も研究しながら「お客さまがカスタマイズして完成させる」ことを理解してもらいました。

従来のテリヤキバーガーではレタスを何枚も重ねることで甘いテリヤキソースとの相性がよかったが、付け足しソースの場合、パティの上に乗せるレタスを千切りにして後からかかるソースがジワジワとしみ込んでいく効果を出すことに成功した。社内の賛同も得られ晴れて商品化することができた。

この付け足しソースについてはグリーンバーガー〈テリヤキ〉の新商品CMに起用され、この発表会で「1日宣伝部長」に任命されたモデル近藤千尋(31)も「幼い女の子2人の子どもがいる母親なんですが、最初からソースがかかっていると子どもはぼろぼろと落としてしまうので、食べさせにくいんです」と話し「それと子どもに食べさせたあとで私が食べるときにソースがベチャとしていない状態になっているのはありがたいです」と母親目線で付け足しソースの有用性をアピールした。

モスフードサービスでは「第2弾を全店舗での販売に踏み切ったのは売れると判断したから。年間で150万個はいける」と高い目標値を掲げた。

モスの新しいグリーンバーガーはソースの付け足しOKですよ。【寺沢卓】