ドイツのガソリンスタンドで先週末、客にマスクを着用するよう求めた20歳の店員が射殺される事件が起き、「マスク着用を求めたことで処刑されたも同然」と国内に衝撃が広がっている。

米FOXニュースによると、ことの発端は国内のすべての店で着用が義務づけられているマスクを着用せずに入店した客に店員が着用を求めたことだったという。当局の発表によると、49歳の男性が事件の翌日に警察に出頭し、自ら犯行を認めているという。

報道によると、容疑者の男性はマスクをせず入店してビールを購入しようとしたところ店員からマスク着用を求められ、拒絶したところサービスを拒否されたため一度は退店した。

しかし、その約1時間半後に今度はマスク姿で店に現れるも、レジで再びマスクを外したことから口論になり、銃を取り出して店員の頭を撃ったという。男性は警察の取り調べに対し、「ビールを売らないと言われて腹が立った」などと供述しているほか、政府の新型コロナウイルス対策に批判的な立場で「権利の侵害が強まっている」などと語っているという。

ドイツでは政府のコロナ対策に抗議する大規模デモが起きており、反ワクチン・反マスク運動が過激化していることが懸念されていた。当局は容疑者が、過激派の反コロナ対策デモに関与しているかどうかは明らかにしていないが、コロナ対策を巡って殺人事件が起きたのはこれが初めてだとみられる。(ロサンゼルス=千歳香奈子)