衆院選東京8区の野党統一候補をめぐる混乱が解決したことを受け、統一候補となった立憲民主党の吉田晴美氏(49)が12日夜、東京・杉並区のJR阿佐ケ谷駅前で街頭演説し、有権者に報告した。

市民が次々とマイクを握りあいさつをする中、吉田氏は最後に登場。この日は演説ではなく「自分の気持ちを正確にお伝えしたく、文章を書いてきました」と語り、書面を読み始めた。

「山本太郎さんのご決断に心から敬意を表します。山本さんはどんなにかつらい決断をされたかと思います。ぜひ、一緒に街宣してう訴えましょう。私たちは街の声を聞いて、命や心を何よりも大切にする政治を実現するために、本気で政権交代する決意を訴えましょう」と述べ、山本氏への感謝のみを語った。

その後は、コロナ禍の中、飲食店が苦しみ、市民が苦しんでいる声を聞いてきたとし「あなたの声を聞き、あなたの涙を見捨てない。あなたの痛みは私の痛み。誰に対しても誠実にありたい」と訴えた。

東京8区をめぐっては、れいわ新選組の山本代表が8日、同区からの出馬を電撃表明した。「東京8区、杉並(区)。石原家のご子息のおひざ元。東京でも最強と、言われる人」とジョーク交じりに明らかにした。

これに対し、吉田氏側は、山本氏の表明は寝耳に水だった様子。地元の支持者は「まったく聞いていない。(山本氏の)わがままだ」。「吉田さんは6年間の活動を通じて、地元とのつながりを築いてきた。上から突然ねじ込まれるような形では山本とは書けない」と怒りの声を上げた。さらに、支持者たちがSNSでも「#吉田はるみしか勝たん」「#吉田はるみを応援します」などのハッシュタグも拡散した。

立憲民主党の枝野幸男代表は9日に「困惑している」と語り、山本氏は、11日に「8区で再度挑戦と決めたのですが、そこには大きなハレーション(悪い影響)が起こりました。結論から言うと東京8区から出ません。降ります」と語った。

関係者によると、東京8区をめぐっては、立憲幹部が小沢一郎氏に調整を依頼し、山本氏を統一候補にという話し合いもあったようだ。だが、正式決定ではなく、吉田陣営の反発も強く、最終的には吉田氏でまとめざるをえなくなったようだ。

吉田氏は演説を終えると、関係者にガードしながら、事務所に駆け込んだ。報道陣からこれまでの経緯を説明するよう申し入れたが、本人は一切、答えなかった。