静岡5区は無所属細野豪志氏(50)が圧倒的な存在力で開票と同時に8選目を勝ち取った。

民主党政権下では閣僚経験もあり、党代表選にも立候補した「党の顔」だったが、自衛隊を否定する共産党との共闘に嫌気がさして離党した。自民党前幹事長の二階俊博氏(82)のまとめる志帥会に19年から無所属のまま特別会員の待遇で参画し、自民党入りを狙っていた。

今回の衆院選では自民党岸田派の吉川赳氏(39)が党公認を得て保守分裂選挙に。細野氏も「負けたら政治家を引退する。圧倒的な勝利がほしい」と熱っぽく訴えてきた。陣営の総合選対本部長には前富士市長鈴木尚氏(74)がついた。静岡中部地区の「ミスター自民党」で前回の衆院選で吉川氏を応援していた自民党県議も多数、12日間の細野氏を支え続けた。

さらに東京で役職を失った細野氏は4年前から富士市を拠点に活動し、いじめ問題などで地元の公明党関係者と協力態勢を築いていった。鈴木氏は「静岡は8区に分かれていて、公明党候補はゼロ。当然、自民党候補に公明票を集めるんだが、この5区だけは細野の地道な活動が奏して自由投票になったんです」と公明党も含めた保守分裂だった内幕を明かした。

ただ、もっとも細野氏を後押ししたのは5区の女性グループで、初当選の00年から「政党じゃないの。細野豪志を応援しているの」と一途な思いで20年変わらずに支えてきた草の根パワーも健在だった。【寺沢卓】